チップマウンターに使用されるシールの問題

チップマウンターの特徴
チップマウンターは、供給装置から供給されたICチップなどの電子部品をノズルによって吸着し、それをプリント基板の目的の場所へ方向を合わせてマウントする装置です。

正確な動作が求められるノズルの内部に装着されたシールは、吸着時の負圧維持と、相反する低摺動性が求められます。

負圧がかかることでシールが軸に吸い寄せられ、その状態で回転するため、軸との摩擦が大きくなります。一般的に、以下の問題・課題があります。

  • 短いシール寿命
  • 摺動抵抗が高く、大きな回転トルクが必要
  • シールの発熱が高く、ユニットの動作が不安定になる
  • シールサイズが大きく、構造を大きくせざる得ない

チップマウンター動作

代表的なシールの仕様

  • 回転運動: ~ 0.5 m/s
  • 圧力: -0.08 ~ +0.03 MPa
  • 作動流体: ドライエア
  • 温度: 20 ~ 50 °C
  • サイズ: Φ6 ~ 
ノズル内部イメージ図
   

 

SKF低摺動シール

特殊形状に対応
様々な標準形状のみならず、形状のカスタムに対応します。独自のリップ形状を採用することで、低摺動、高密封性を実現しました。

独自の高性能材料
ゴム系材料から、摩擦係数が非常に低く耐摩耗性に優れる超高分子量ポリエチレン材料のSKF Ecowear 1000に変更することで、低摩擦を実現しました。

様々な要求仕様に対応可能
お客様の仕様に合わせた専用設計を行うことが可能です。

  • 限界まで低摺動性を狙ったシールの評価をしたい
  • 摺動性を犠牲にしても密封性を上げたい
  • 既存のシール溝寸法は変更せず、機能アップさせたい

 

利点

  • 耐久性の向上
  • 摺動抵抗の低減
  • 発熱温度の低減
  • メンテナンスサイクルの延長
  • 既存のシール溝を使用出来る

 

 

 

開発事例

  1. お客様にて既存の機種を検証した結果、モータ過負荷が起こっていたため、改善するためにSKFに相談
  2. お客様の必要とする仕様、問題点を聞き取り、過去実績を元にSKF Ecowear 1000材を使用した特殊形状シールを提案
  3. お客様にて評価試験実施
    ⇒ 評価の結果既存ゴム材シールより摺動抵抗は低減したが、お客様にて改良品に対し摺動抵抗を半分に下げたいという新たな目標を立てる
  4. 改善案を検討。最適なシール形状を解析ソフトでシミュレーションし、改善シールを提案
  5. お客様にて数回の評価試験実施
  6. 評価結果、要求仕様をクリア

S05-Pと特殊形状S05-P標準形状(左)とそれを元に摺動抵抗を低減させた特殊形状(右。初回提案)

シミュレーションと2回目に提案した形状
シミュレーションと2回目に提案した形状

採用された形状
採用された形状