サーモプラスチック

サーモプラスチック材料は、適用可能温度範囲内で高い剛性を示します。一方で、使用温度レベルを超えると融解するため 、射出成形機で加工成形することができます。ポリマーグレードの選択は、化学的適合性、および機械的特性(延性、剛性、強度)を考慮し決定されます。エンジニアリングサーモプラスチックは、一般的にバックアップリング、ガイドリング、ブッシュ、スクレーパー、およびその他シールに必要な構成要素部品として使用されます。

 

SKF Ecoflon 1 (エコフロン1)

SKF Ecoflon 1は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE- virgin)を基材とした熱可塑性の材料で、バックアップリング、Vパッキン、Oリング、ロータリーシールおよびガスケットに使用されます。SKF Ecoflon 1は、卓越した耐薬品性を持ち、溶融アルカリ金属および高温の元素状フッ素によってのみ侵食されます。PTFEを主材とするシールを使用する場合、比較的低い荷重(圧力)でクリープが生じるため、注意が必要です。また、SKF Ecoflon 1は、食品産業において、食品加工機械にも良く使用されています。

 

SKF Ecoflon 2 (エコフロン2)

SKF Ecoflon 2 (PTFE + 15%ガラス繊維 + 5%MoS2)は、SKF Ecoflon 1と比較して圧縮強さ、および摺動特性が強化された材料です。耐薬品性は、SKF Ecoflon 1と同様です。

 

SKF Ecoflon 3 (エコフロン3)

SKF Ecoflon 3 (PTFE + 40%ブロンズ)は、SKF Ecoflon 1と比較して圧縮強さ、摺動特性、および熱伝導において優位性が見られます。

 

SKF Ecoflon 4 (エコフロン4)

SKF Ecoflon 4 (PTFE + 25%カーボン)は、SKF Ecoflon 1と比較して機械的強度、剛性、硬さ、および摺動特性において優位性が見られます

 

SKF Ecoflon 5 (エコフロン5)

SKF Ecoflon 5 (改質PTFE)は、SKF Ecoflon 1と比較してより優れた耐摩耗性があります。飲食料品業界の加工および処理プロセスの機器に適しています。

 

SKF Ecotal (エコタール)

SKF Ecotalは、半結晶のポリアセタールコポリマー(POM-C)で、耐はみ出し用バックアップリング、ガイドリング、ブッシュ、スクレーパー、および要求公差の厳しい精密機械加工部品に使用されます。SKF Ecotalは、良好な機械的特性・耐薬品性、および低い吸水率を兼ね備えています。SKF Ecotalは、鉱油、および水を含む難燃性作動油(HFA、HFBおよびHFC作動液)にも使用することができます。一方で、高濃度の酸や塩基によって侵食され破壊されます。

 

SKF Ecomid (エコミッド)

SKF Ecomidは、良好な摺動特性を持った注型用ポリアミド(PA)で、バックアップリング、ガイドリング、およびベアリング部品として、直径が260 mmを超える場合にSKF Ecotalの代わりに使用されます。SKF Ecomidは、鉱油、および水を含む難燃性作動油に使用することができます。
一方で、水、または水を含む作
動液中での用途にSKF Ecomidを適用する場合、材料の膨潤を考慮しなければなりません(SKF Ecomidは最大で重量比8%の水を吸収します)。

 

SKF Ecopaek (エコピーク)

SKF Ecopaek (PEEK)は、高性能プレミアム熱可塑性樹脂です。高温使用限界は、他のエンジニアリングプラスチックよりも大幅に上回ると同時に、高い引張強さと良好な摺動特性および耐摩擦性を兼ね備え、優れた寸法安定性、耐クリープ性、緩和特性を提供します。主に、高い耐熱性、または機械的強度が求められるシール、およびシール構成要素部品に使用されます。

 

SKF Ecowear 1000 (エコウェア1000)

SKF Ecowear 1000は、分子量が約450万 g/molのポリエチレン(UHMW-PE)を基材とした半結晶の熱可塑性の材料です。SKF Ecowear 1000は、非常に低い摩擦係数、および優れた耐摩耗性と衝撃強さを備えています(–200 °Cまでの低温環境にも適用されることがあります)。SKF Ecoflon系材料と比較して、高い耐クリープ性を持ち、撥水効果が高く、水分による膨潤をほとんど示しません。SKF Ecowear 1000は、優れた摺動特性が求められる場合や、潤滑条件の悪い運転環境、および水性系流体への適合性を求められる場合に適しています。